アパート一棟の買取価格——「収益」で決まる
マンションの一室や一戸建てであれば、近隣の成約事例をもとに査定する「取引事例比較法」が主流です。しかし、アパート一棟の場合は事情が異なります。買取業者が最も重視するのは、その物件が「いくらの家賃収入を生むか」です。
これを「収益還元法」と呼びます。アパートの買取価格を理解するうえで、この考え方の基本を押さえておくことが重要です。
小規模アパート一棟の買取価格は、年間家賃収入を期待利回りで割った「収益還元法」で算出されます。空室が多い物件は「満室想定賃料」で評価されるケースもありますが、空室リスク分が割り引かれます。入居者がいる状態(オーナーチェンジ)での売却が最もスムーズで、買取業者なら入居者への通知・管理会社の引継ぎも含めて対応します。
収益還元法の基本——計算式と具体例
直接還元法の計算式
収益還元法にはいくつかの手法がありますが、小規模アパートの査定で最もよく使われるのが「直接還元法」です。計算式はシンプルです。
物件価格 = 年間純収益(NOI) ÷ 期待利回り(キャップレート)
年間純収益(NOI)= 年間家賃収入 − 年間経費(管理費・修繕費・固都税・保険料等)
期待利回り = エリア・築年数・構造によって変動(目安:5〜10%)
具体例で計算してみる
たとえば、以下のような小規模アパートを想定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都郊外(駅徒歩10分) |
| 構造 | 木造2階建て |
| 築年数 | 25年 |
| 戸数 | 6戸(1K×6) |
| 月額賃料 | 5.5万円/戸(満室時) |
| 現在の稼働 | 5戸入居・1戸空室 |
| 年間家賃収入 | 5.5万円 × 6戸 × 12か月 = 396万円(満室想定) |
| 年間経費 | 約80万円(管理費・修繕積立・固都税・保険) |
| 年間純収益(NOI) | 396万円 − 80万円 = 316万円 |
このエリア・築年数での期待利回りを8%と仮定すると、
物件価格 = 316万円 ÷ 8% = 3,950万円
ただし、これは「満室想定」での計算です。現状1戸が空室であることや、築25年の修繕リスクを考慮すると、実際の買取価格は3,200万〜3,600万円程度になるのが一般的です。
買取価格を左右する5つの要素
同じ収益還元法を使っても、以下の要素によって査定額は大きく変動します。
要素1:空室率と稼働率
空室が多いほど、買取業者にとってはリスクが高くなります。満室稼働中のアパートと、半分空いているアパートでは、同じ建物でも査定額に大きな差が出ます。
| 稼働率 | 買取価格への影響 |
|---|---|
| 90〜100%(満室〜1戸空き) | 最も高い評価。安定収益が見込める |
| 70〜90% | 空室リスク分を割引。賃料設定の見直し余地も評価 |
| 50%未満 | 大幅割引。ただし「満室にできるポテンシャル」で評価する業者もある |
| 全空(0%) | 土地値+建物の残存価値で評価。収益還元法が使いにくい |
要素2:立地と賃貸需要
駅からの距離、周辺の大学・工場・商業施設の有無、人口動態などが賃貸需要を左右します。東京23区内であれば利回り5〜7%、郊外や地方都市では8〜12%が目安です。利回りが低いほど物件価格は高くなる(=安定した需要があると評価される)点に注意してください。
要素3:築年数と建物の状態
木造アパートの法定耐用年数は22年です。築22年を超えると減価償却上の残存価値はゼロになりますが、実際の建物としてはまだ使えるものが大半です。買取業者は法定耐用年数ではなく、実際の構造躯体の状態と、あとどれくらい使えるかを重視します。
外壁のひび割れ、屋根の防水状態、給排水管の状態——これらの修繕にいくらかかるかが、買取価格に直接影響します。
要素4:入居者の属性と賃貸借契約の内容
長期入居者が多いアパートは収益の安定性が高く評価されます。逆に、家賃滞納者がいる場合や、相場より著しく安い賃料で契約している入居者(いわゆる「安貸し」)がいる場合は、マイナス評価になります。
要素5:土地の資産価値
建物が老朽化して将来的に解体が必要になった場合、最終的に残るのは土地です。土地の面積・形状・接道状況・用途地域によって、「出口としての土地値」が変わります。土地の資産価値が高いエリアでは、建物の状態が悪くても一定の買取価格がつきます。
オーナーチェンジ買取の仕組み——入居者がいても売れる
「入居者がいるけど売却できるのか」というご質問をよくいただきます。答えは「入居者がいる状態のまま売却できます」。これを「オーナーチェンジ」と呼びます。
オーナーチェンジの流れ
オーナーチェンジでは、賃貸借契約はそのまま新オーナー(買主)に引き継がれます。入居者にとっては、家賃の振込先が変わるだけで、生活に影響はありません。
| 手続き | 対応者 |
|---|---|
| 入居者への通知(オーナー変更のお知らせ) | 売主と買主の連名で通知 |
| 管理会社の引継ぎ | 現管理会社→新管理会社(または買主が直接管理) |
| 敷金の承継 | 売主が預かっている敷金を買主に引き渡す |
| 家賃の精算 | 引渡し日を基準に日割り精算 |
買取業者に売却する場合、これらの手続きは業者側が主導して進めます。売主が入居者一人ひとりに連絡する必要はありません。
「売却前に入居者に退去してもらわなければ」と考える方がいますが、収益物件の売却では逆効果です。入居者がいる=家賃収入がある状態のほうが、買取業者にとっては収益の裏付けがあるため、高く評価されます。空室にしてしまうと「本当に入居者がつくか」というリスクが加わり、むしろ査定額が下がることがあります。
当社のアパート買取への対応
不動産売却サポート株式会社では、小規模アパート一棟の買取に対応しています。
| 小規模アパートの買取対応 | |
|---|---|
| 対応規模 | 4戸〜20戸程度の小規模アパート一棟 |
| 構造 | 木造・軽量鉄骨・鉄骨造いずれも対応 |
| 築年数 | 制限なし(築40年超・旧耐震でも対応) |
| 入居状況 | 満室・一部空室・全空いずれも対応 |
| オーナーチェンジ | 入居者への通知・管理会社引継ぎを当社が主導 |
| 決済方法 | 現金決済(融資特約なし) |
| 契約不適合責任 | 原則免責 |
相続アパートの出口戦略
親から相続したアパートの扱いに困っているというご相談が増えています。「賃貸経営を続ける気はないが、入居者がいるので売れないと思っていた」「修繕費がかさんで赤字になりそう」——こうした状況では、オーナーチェンジでの買取が最もシンプルな出口戦略です。
賃貸経営の知識がない相続人が無理に経営を続けるよりも、適正価格で売却して現金化するほうが、相続人全員にとって合理的な選択になることが多いです。
アパートの売却をお考えの方は、まずはレントロール(賃料一覧表)と建物の基本情報をお送りください。概算の買取価格を1〜2営業日でお伝えします。
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