契約不適合責任とは何か

不動産を売却した後、引渡し済みの物件に「契約の内容に適合しない」不具合が見つかった場合、売主は買主に対して修繕や損害賠償などの責任を負います。これが契約不適合責任です。

2020年4月の民法改正以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、改正後は「契約不適合責任」に名称と内容が変わりました。旧法では「隠れた瑕疵(欠陥)」が対象でしたが、新法では「契約の内容に適合しているかどうか」が判断基準になります。

具体的にどのような不具合が対象になるかというと、以下のようなものです。

種類 具体例
物理的な不適合 雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障、基礎のひび割れ、地中の埋設物
法律的な不適合 建築基準法違反、用途地域の制限、接道義務を満たしていない
心理的な不適合 過去の事件・事故(いわゆる事故物件)
環境的な不適合 近隣の騒音・振動・悪臭、土壌汚染

売主が知っていて告げなかった不具合はもちろん、売主自身も把握していなかった不具合についても責任を問われる可能性があるのが、この制度の怖いところです。

仲介で売却した場合のリスク——実際に起きた事例

仲介で個人の買主に売却した場合、契約不適合責任は原則として売主が負います。契約で「引渡しから3ヶ月間」などと期間を定めることが一般的ですが、この期間内に不具合が発覚すれば、売主は対応を迫られます。

30年間の実務で、実際に目にしたケースをいくつかご紹介します。

ケース1:築20年の戸建て——シロアリ被害の発覚

売主は長年住んでいた自宅を仲介で売却。引渡しから2ヶ月後、買主がリフォームのために壁を開けたところ、柱と土台にシロアリの食害が見つかりました。売主は被害を把握していませんでしたが、契約不適合として修繕費用180万円を負担することになりました。

ケース2:築35年のマンション——給排水管の老朽化

引渡しから1ヶ月後、専有部分の給排水管から水漏れが発生。管が老朽化で腐食していたことが原因でした。買主は修繕費用と階下への損害賠償を売主に請求。合計120万円の負担が生じました。売主は「築年数的に配管が古いのは当然では」と反論しましたが、契約書に配管の状態について記載がなかったため、不適合と判断されました。

ケース3:戸建て——地中からコンクリートガラ

買主が建替えのために解体・掘削を行ったところ、地中から大量のコンクリートガラ(以前の建物の基礎の残骸)が出てきました。撤去費用として250万円を請求されました。売主は30年以上前に購入した土地であり、地中の状態は把握していませんでした。

💡 共通する問題点

いずれのケースも、売主が不具合を「知らなかった」にもかかわらず責任を負っている点が重要です。「知らなかった」は免責の理由にならないのが契約不適合責任の厳しさです。特に築年数が古い物件ほど、売主自身も把握していない不具合が潜んでいる可能性は高くなります。

買取での免責の仕組み——なぜ免責が成立するのか

不動産買取で契約不適合責任が免責になるのは、法律的な根拠があります。

民法の契約不適合責任は任意規定です。つまり、当事者間の合意によって排除(免責)することが認められています。売主と買主が合意のうえで「契約不適合責任を負わない」と契約書に明記すれば、その条項は有効です。

ただし、これには条件があります。

買主が宅建業者である場合。宅建業法上、宅建業者が売主で個人が買主の場合、契約不適合責任を免責にすることはできません(買主保護の観点)。しかし、売主が個人で、買主が宅建業者(=買取会社)の場合は、免責の合意が有効です。買取会社は不動産のプロとして物件を購入するのですから、リスクを自ら引き受けることが前提になっています。

売主が不具合を「知っていて故意に告げなかった」場合は免責されない。これは民法の一般原則(信義則)に基づきます。たとえば、雨漏りがあることを知っていて、意図的に隠して売却した場合、免責条項があっても責任を問われる可能性があります。ただし、これは「故意に隠した」場合に限られます。知らなかった不具合については、免責条項が有効に機能します。

売却方法 契約不適合責任 売主のリスク
仲介(個人への売却) 原則あり(期間短縮は可能) 引渡し後に不具合が見つかれば修繕費用を負担。金額の上限なし
買取(業者への売却) 免責が一般的 引渡し後の不具合について責任を負わない。売却後の出費リスクがゼロ

免責でも注意すべき4つのポイント

買取で契約不適合責任が免責になるとはいえ、以下の点には注意が必要です。

注意点1:免責条項が契約書に明記されているか

口頭で「免責にしますよ」と言われただけでは不十分です。売買契約書の条文として、契約不適合責任を免責とする旨が明確に記載されていることを確認してください。「本売買における契約不適合責任は、売主はこれを負わないものとする」——このような文言が必要です。

注意点2:免責の範囲を確認する

「契約不適合責任免責」と書いてあっても、どの範囲が免責なのかを確認する必要があります。「物理的瑕疵のみ免責、心理的瑕疵は除く」「設備については引渡しから7日間は売主負担」など、部分的な免責になっているケースがあります。全面免責なのか部分免責なのか、契約書で確認してください。

注意点3:告知義務は残る

免責条項があっても、売主が知っている不具合を故意に告げなかった場合は免責が適用されません。したがって、把握している不具合(過去の雨漏り歴、近隣トラブルなど)は正直に買取会社に伝えてください。正直に伝えたうえで免責になるのと、隠して後からトラブルになるのでは、結果がまったく異なります。

注意点4:仲介経由の買取は要注意

仲介会社を経由して買取会社に売却する場合、契約条件の交渉が仲介会社を通じて行われるため、免責条項の内容が十分に確認されないまま契約に至るケースがあります。仲介経由であっても、契約書のドラフトを事前に取り寄せ、免責条項を自分の目で確認してください。

💡 契約書のチェックポイントまとめ

1. 「契約不適合責任を免責とする」旨の条文があるか
2. 免責の範囲(全面か部分か)が明確か
3. 設備に関する免責の有無と期間
4. 告知書(物件状況報告書)を別途作成し、知っている不具合を記載しているか

当社の対応——全面免責と丁寧な告知書作成

不動産売却サポート株式会社では、買取時の契約不適合責任について以下の対応を行っています。

項目 当社の対応
契約不適合責任 全面免責。物理的・法律的・心理的・環境的不適合のすべてについて、売主は責任を負いません
契約書への明記 免責条項を契約書に明確に記載。事前にドラフトをお渡しし、内容をご確認いただけます
告知書の作成サポート 物件状況報告書(告知書)の作成をサポート。売主が把握している情報を整理し、正確に記載します
現地調査 当社の担当者が現地を調査し、物件の状態を確認。売主が把握していない不具合の有無もチェックします

私たちが全面免責にできるのは、不動産のプロとしてリスクを自ら引き受ける覚悟と、そのリスクを適正に評価する能力があるからです。査定の段階で物件の状態を詳細に確認し、修繕が必要な箇所のコストを織り込んだうえで買取価格を提示します。

築古物件、雨漏り歴のある物件、シロアリ被害の可能性がある物件——仲介では売却後のトラブルが心配で踏み切れなかった方にとって、「売った後は一切心配しなくていい」という安心感は、価格差以上の価値があるとお考えの方が多いです。

契約不適合責任について不安がある方は、お気軽にご相談ください。物件の状況をお聞きしたうえで、免責の条件を具体的にご説明します。

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