買取査定と仲介査定は「目的」が違う

不動産の査定には大きく分けて「仲介査定」と「買取査定」があります。同じ物件を査定しても金額が異なるのは、そもそも査定の目的が違うからです。

仲介査定は、「この物件をポータルサイトに掲載したら、3ヶ月以内にいくらくらいで買い手がつくか」を予測するものです。あくまで「予測」であり、実際にその金額で売れる保証はありません。仲介会社にとっては「高めの査定額を出して媒介契約を取りたい」というインセンティブが働くため、実態より高い金額が提示されることがあります。

買取査定は、「当社がこの価格で購入します」という確定金額です。業者が自分の資金で買うわけですから、失敗すれば自社が損をします。そのため、買取査定はシビアな数字になります。

項目 仲介査定 買取査定
査定の性質 売れそうな価格の「予測」 業者が買う「確定額」
金額の傾向 高めに出やすい 保守的(堅実)
売れる保証 なし(売れない場合もある) あり(業者が必ず購入)
査定後の流れ 媒介契約→広告→内覧→交渉→契約 査定額に合意→契約→決済
売却までの期間 平均3〜6ヶ月(売れない場合も) 最短3日〜2週間

この違いを理解していないと、「仲介なら3,000万円と言われたのに、買取は2,200万円しか出ない。買取は損だ」と感じてしまいます。しかし、仲介の3,000万円は「この価格で売り出しましょう」という提案であり、実際にその金額で売れるとは限りません。

買取査定の基本式——再販価格から逆算する

買取会社が査定額を算出するロジックは、実はシンプルです。以下の式で計算されます。

💡 買取査定の基本式

買取価格 = 再販予想価格 − リフォーム費用 − 諸経費 − 利益

再販予想価格:買取後にリフォームして売り出した場合の見込み販売価格
リフォーム費用:内装・設備の補修・交換にかかる実費
諸経費:登記費用、不動産取得税、仲介手数料(再販時)、管理費・固定資産税の保有期間分
利益:買取会社の事業利益(通常10〜15%程度)

たとえば、あるマンションの再販予想価格が3,000万円だとします。リフォームに300万円、諸経費に200万円、利益を350万円と見積もると、買取価格は3,000万 − 300万 − 200万 − 350万 = 2,150万円となります。

仲介査定が2,800万円だったとすると、差額は650万円。しかし、仲介の場合は仲介手数料(約97万円)、契約不適合責任のリスク、半年間の維持費(ローン返済・管理費・固定資産税で合計100万円以上になることも)を考慮すると、実際の手取り差は想像より小さいのです。

買取業者が査定で見ているポイント

買取査定では、業者は以下のポイントを重点的に確認します。仲介査定とは見る箇所が異なります。

再販のしやすさ

買取会社にとって最も重要なのは、「購入後に再販できるか」です。立地・間取り・築年数が再販市場で需要がある物件は、高い査定額がつきます。逆に、再販が難しい物件(極端に狭い、駅から遠い、人口減少エリア)は、いくら物件の状態が良くても査定額は抑えられます。

リフォーム費用の見積もり

買取会社は物件を購入後にリフォームして再販するのが基本です。そのため、リフォームにいくらかかるかが査定額に直結します。壁紙の張替え程度で済む物件と、水回り全面交換が必要な物件では、数百万円の差が出ます。

ここで業者ごとに差がつくのが、リフォームのコスト管理能力です。自社でリフォーム部門を持っている会社や、長年の付き合いがある施工業者がいる会社は、リフォーム費用を抑えられるため、その分高い買取価格を提示できます。

権利関係の複雑さ

共有名義、借地権、底地、再建築不可——権利関係が複雑な物件は、再販までに時間と手間がかかります。その分、査定額は下がります。ただし、権利関係の整理を得意とする業者であれば、他社より高い査定額を出せることがあります。業者の専門性が査定額に反映される典型的なケースです。

保有期間の見通し

買取会社は、物件を購入してから再販するまでの間、固定資産税、管理費(マンションの場合)、修繕積立金などの維持費を負担します。再販までに半年かかると見込む物件と、1ヶ月で売れると見込む物件では、保有コストが異なります。再販が早いと見込める物件は、その分高い買取価格を提示できます。

業者ごとに査定額が違う理由

同じ物件を3社に査定依頼すると、3社とも異なる金額を提示します。これは、上記の基本式における各項目の見積もりが業者ごとに異なるためです。

再販予想価格の見方が違う。エリアに精通した業者は、「このマンションはリフォーム済みなら3,200万円で売れる」と判断できますが、エリアに詳しくない業者は保守的に「2,800万円くらいだろう」と見積もります。この差だけで400万円の開きが出ます。

リフォームのコスト構造が違う。前述のとおり、自社施工やコストの安い提携業者を持っている会社は、リフォーム費用を低く見積もれます。外注に頼る会社はコストが高くなり、その分買取価格が下がります。

利益率の設定が違う。大量の物件を回転させるビジネスモデルの会社は、1件あたりの利益率を低く設定して買取価格を上げます。少数の物件でじっくり利益を取るモデルの会社は、1件あたりの利益率を高く設定します。

在庫状況が違う。買取会社にも「今このエリアの物件がほしい」というタイミングがあります。再販先の見込み客がいる場合や、ポートフォリオの都合で特定エリアの物件を増やしたい場合、通常より高い査定額が出ることがあります。

💡 査定額の比較で注意すべきこと

複数社の査定額を比較する際、最も高い金額を出した会社が最善とは限りません。「高い査定額で契約を取り、契約後に減額する」手法を使う業者がいるからです。査定額の根拠(再販予想価格、リフォーム費用の見積もり、利益率)を具体的に説明できる会社を選んでください。

査定額を上げるためにできること

売主側でできることは限られていますが、いくつかのポイントを押さえることで査定額が上がる可能性があります。

物件の情報を正確に伝える。リフォーム履歴、設備の交換時期、管理組合の修繕計画——こうした情報があれば、業者は精度の高い査定ができます。情報が不足していると「わからないリスク」を上乗せして査定額を下げる傾向があります。

複数社に査定を依頼する。2〜3社に査定を依頼し、金額だけでなく根拠を比較してください。査定額に大きな差がある場合、その理由を各社に確認することで、物件の適正価格が見えてきます。

売却の時期を急がない。買取会社にも繁忙期と閑散期があります。決算期前や在庫が少ないタイミングでは、積極的に仕入れるために高い査定額が出やすくなります。ただし、これはコントロールが難しい要素です。

不要な残置物は処分しておく。残置物の処分費用は買取価格から差し引かれます。自分で処分できるものは事前に処分しておくと、その分が査定額に反映されます。ただし、大型家具の処分業者を手配する費用と買取価格への影響を比較して、割に合うかどうかを判断してください。

当社の査定プロセス

不動産売却サポート株式会社では、以下のプロセスで査定を行っています。

ステップ 内容 所要時間
1. 机上査定 物件情報(所在地・面積・築年数・間取り)をもとに、周辺の成約事例・再販見込みを分析。概算の買取価格をご提示 即日〜翌営業日
2. 現地調査 物件の状態(内装・設備・構造)を確認。リフォーム費用の見積もりを算出 1〜3日
3. 正式査定 机上査定と現地調査の結果を統合し、正式な買取価格をご提示。根拠(再販予想価格・リフォーム費用・諸経費の内訳)もあわせてご説明 現地調査後1〜2日

当社の特徴は、査定額の根拠をすべて開示することです。「なぜこの金額なのか」を再販予想価格・リフォーム費用・諸経費の内訳とともにご説明します。不明点があればその場でお答えします。

また、査定の結果、仲介で売却したほうが有利だと判断した場合は、率直にそうお伝えします。提携の仲介会社(関東・関西)をご紹介することも可能です。「買取ありき」ではなく、売主にとって最善の方法をご提案するのが当社のスタンスです。

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