共有名義の不動産——「売りたいのに売れない」問題

相続で兄弟3人の共有名義になった実家。離婚後、元配偶者との共有のまま放置しているマンション。共同購入した投資用物件——。共有名義の不動産は、共有者全員の合意がなければ「全体」を売却することができません。

「自分は売りたいのに、他の共有者が反対している」「連絡が取れない共有者がいる」「話し合いがまとまらない」——こうした状況は、相続や離婚の現場で日常的に発生しています。

しかし、意外と知られていないのが、自分の持分だけなら、他の共有者の同意がなくても売却できるという事実です。これは民法で認められた権利であり、共有者の誰にも止めることはできません。

💡 この記事の結論

共有持分は、他の共有者の同意なしに単独で売却できます。ただし、持分だけの売却は一般の買い手には難しく、専門の買取業者に依頼するのが現実的です。価格は全体価格の持分割合よりも低くなりますが、共有状態から解放されるメリットは大きいです。

共有持分とは——基本の仕組みを整理する

まず、共有持分の基本的な仕組みを整理します。

共有持分の定義

不動産の「共有」とは、1つの不動産を複数人で所有している状態です。各共有者が持つ所有権の割合を「持分」と呼びます。たとえば、兄弟3人で均等に相続した場合、各人の持分は3分の1ずつになります。

持分は登記簿(登記事項証明書)に記載されており、法的に明確な権利です。

共有持分でできること・できないこと

行為の種類 内容 必要な同意
保存行為 修繕・不法占拠者の排除など 単独でできる
管理行為 賃貸借契約の締結・解除など 持分の過半数
変更行為 売却・建替え・大規模改修など 共有者全員の同意
持分の処分 自分の持分の売却・贈与 単独でできる

ここで重要なのは、不動産「全体」の売却には全員の同意が必要ですが、「自分の持分」の売却は単独でできるという点です。これは民法第206条(所有権の内容)および第249条(共有物の使用)に基づく権利であり、他の共有者に拒否する権限はありません。

持分売却の価格——全体価格の持分割合より低くなる理由

「不動産全体が3,000万円で、自分の持分が3分の1なら、1,000万円で売れるのでは?」——残念ながら、そうはなりません。

持分のディスカウント

共有持分だけを購入した場合、買い手は不動産全体を自由に使うことも、全体を売却することもできません。他の共有者との調整が常に必要になります。このリスクと不便さを反映して、持分の売却価格は全体価格の持分割合よりも大幅に低くなります。

条件 持分売却価格の目安
共有者が協力的で、将来的に全体売却が見込める 全体価格の持分割合 × 70〜80%
共有者との関係が悪く、交渉が難しい 全体価格の持分割合 × 50〜60%
共有者が不明・連絡不能 全体価格の持分割合 × 40〜50%

たとえば、全体価格3,000万円の物件で持分3分の1(計算上1,000万円)の場合、実際の売却価格は500万〜800万円程度になることが多いです。

「安すぎる」と感じるかもしれません。しかし、共有状態を放置し続けるコスト(固定資産税の持分負担・管理の手間・共有者間のストレス・将来の相続でさらに共有者が増えるリスク)を考えると、早期に持分を売却して共有関係を解消するほうが合理的なケースは少なくありません。

共有物分割請求——もう一つの選択肢

持分の売却以外に、共有関係を解消する法的手段として「共有物分割請求」があります。

共有物分割請求とは

民法第256条に基づき、共有者はいつでも他の共有者に対して共有物の分割を請求できます。話し合いがまとまらない場合は、裁判所に分割を請求することも可能です。

分割方法 内容 適用されるケース
現物分割 不動産を物理的に分ける(土地を2つに分筆するなど) 広い土地の場合
代償分割 1人が全体を取得し、他の共有者に金銭を支払う 建物がある場合に多い
競売による換価分割 裁判所の命令で競売にかけ、代金を分配 話し合いが完全に決裂した場合

共有物分割請求は強力な手段ですが、裁判になれば時間と費用がかかります(弁護士費用・裁判費用で100万円以上になることも)。また、競売になった場合は市場価格の60〜70%程度でしか売れないことが多く、全員が損をする結果になりがちです。

💡 裁判の前にできること

共有物分割請求の裁判を起こす前に、まずは持分の買取査定を取ることをお勧めします。査定額を見たうえで、「自分の持分を売る」か「他の共有者に買い取ってもらう交渉をする」か「裁判に進む」かを判断できます。査定を取ること自体に費用はかかりません。

当社の対応——共有持分の買取

不動産売却サポート株式会社は、共有持分の買取を専門分野のひとつとして取り扱っています。相続・離婚・共同投資など、さまざまな背景で共有関係にある物件の持分買取実績があります。

当社の共有持分買取
対応物件 一戸建て・マンション・土地・アパート(共有持分)
他の共有者の同意 不要。ご本人の持分のみを買取
共有者への連絡 当社から共有者に連絡することはありません(ご希望がある場合を除く)
対応エリア 47都道府県(28都道府県で実績)
決済資金 現金決済(資本金1億円)。融資特約なし
秘密厳守 相談内容を共有者・第三者に漏らすことは一切ありません
士業連携 弁護士・司法書士・税理士との連携体制あり

共有持分の売却で当社がもっとも重視しているのは、「売却後にトラブルが起きない形」で取引を進めることです。持分の売却は法的に認められた権利ですが、他の共有者との関係に配慮が必要なケースもあります。必要に応じて弁護士や司法書士と連携し、法的に問題のない形で手続きを進めます。

「自分の持分だけ売れるのか」「いくらくらいになるのか」「他の共有者に知られたくない」——そうしたご不安がある方は、まずはお電話かフォームでご相談ください。物件の状況と共有関係をお聞きしたうえで、選択肢を整理してお伝えします。

📝 共有持分の査定・相談はこちら。秘密厳守で対応します 📄 関連記事:離婚時の住宅ローン——共有名義をどう解消するか 📄 関連記事:相続アパートの売却——兄弟間の合意と選択肢